サッカー元日本代表の北澤豪さんが会長を務める一般社団法人日本障がい者サッカー連盟が目指す「共生社会」とは。

盲目の方、電動車いすユーザー、健常の方が一緒にサッカーをしている様子

■誰もがサッカーを楽しめる「インクルーシブフットボールフェスタ」
「インクルーシブフットボールフェスタ」を聞いたことがあるだろうか?障がい者と健常者が一緒にサッカーを楽しむことで、心のバリアを取り除くことを目的としたイベントだ。ここでは、健常の子どもと障がいのある子どもが一緒にサッカーを楽しむ「まぜこぜサッカー」と、障がいの有無や種別、年齢、性別に関わらず、誰でもサッカーを楽しむことができる「まぜこぜスマイルウォーキングサッカー」を行っている。

「まぜこぜスマイルウォーキングサッカー」では、走ってはいけないというルールがある。そうすることで、ブラインドサッカーと電動車いすサッカーが同じピッチでプレーできる。「歩く」という少しの工夫を加えることで、障がいの有無、障がいの種別やレベルに関わらず、健常者と障がい者が一緒にサッカーをすることが可能になる。

統一された日本代表ユニフォーム

■サッカーを通じて「共生社会」の実現を目指す日本障がい者サッカー連盟
「インクルーシブフットボールフェスタ」を開催する日本障がい者サッカー連盟は、サッカーで健常者と障がい者の連携をはかり、障がい者サッカーの社会的価値の創造と、障がい者を取り巻く社会課題を解決し「共生社会」の実現を目的に活動している。日本国内の7つの障がい者サッカー団体を統括し、日本サッカー協会の関連団体として2016年に設立された。

日本障がい者サッカー連盟発足の記者発表の際、それぞれの団体選手は同じ日本代表ユニフォームを着用して登場した。これは彼らにとって大きな変化だ。なぜなら、それまで7つの団体はバラバラで、組織運営も違えば、ユニフォームも違ったからだ。統一ユニフォームを着用した瞬間、選手同士の会話が生まれ、選手達が繋がった。団体同士の垣根という名の「障がいの壁」を超えたことで、心のバリアが取り除かれ、ソフト面でも「バリアフリーな環境が生まれた」と北澤さんはユニフォームが持つ力を語った。

「インクルーシブフットボールフェスタ」について北澤さんは、障がいの有無に関わらずお互いをリスペクトし、理屈関係なくプレーしている参加者を見て、「サッカーならどんな障がいも超えられる」と確信したと言う。健常者と障がい者が同じピッチで一緒にサッカーをすることで、健常者は障がい者への理解を深める。様々な違いを超えたこの環境こそが、彼らが目指す「共生社会」なのである。

HEROs OF THE YEAR 2019を受賞した北澤会長(右)とトロフィーを贈呈する日本財団笹川会長(左)

■HEROs OF THE YEAR 2019を受賞
スポーツを活用した社会貢献活動を表彰するHEROs AWARDにおいて、日本障がい者サッカー連盟は最優秀賞であるHEROs OF THE YEAR 2019を受賞した。バラバラだった障がい者サッカー団体7つを総括し、日本代表統一ユニフォームを制定したことで、日本代表としての誇りや責任が増し、選手のモチベーション向上に繋がったことが評価された。また、「インクルーシブフットボールフェスタ」を通して、障がい者理解の推進や共生社会の実現を目指している点も評価され、最優秀賞受賞に至った。

2020年も日本障がい者サッカー連盟では、様々なイベントを予定している。HEROsでは今後も彼らの活動に注目していきたい。是非皆さんも「インクルーシブフットボールフェスタ」に参加して、彼らが目指す「共生社会」を体感してはいかがだろうか。

団体の詳しい情報はこちら↓↓↓
https://www.jiff.football/

※一般社団法人 障がい者サッカー連盟
この連盟には、日本アンプティーサッカー協会(切断障がい)、日本CPサッカー協会(脳性麻痺)、日本ソーシャルフットボール協会(精神障がい)、日本知的障がい者サッカー連盟(知的障がい)、日本電動車椅子サッカー協会(重度障がい)、日本ブラインドサッカー協会(視覚障がい)、日本ろう者サッカー協会(聴覚障がい)が所属している。

インクルーシブフットボールフェスタの様子