2022年11月12. 13日、東京・代々木公園イベント広場で開催された一般社団法人 SNOWBANK主催『東京雪祭2022』にて、HEROsとのコラボ企画が実現しました。
『東京雪祭』とは、「楽しいから始まる社会貢献」をテーマに、普段献血ルームに足を運ばない若者に献血・骨髄バンクを周知、行動してもらうことを目的としたイベントです。主催者であるプロスノーボーダーの荒井DAZE善正さんご自身が骨髄移植を受けて難病を克服した経験から、スノーボードを軸に献血や骨髄バンクの必要性を伝える活動として企画されています。
会場内の特設ステージに人工雪を積もらせ、スノーボーダーたちがアクロバティックな技を披露したほか、音楽アーティストのライブ、スポーツ・アパレルブランドのブースやキッチンカーの出店もあり、スノーボードを軸に、音楽、アート、食といった多様な催しで来場者を楽しませました。
「献血者数333人、骨髄ドナー登録数111人」が目標に掲げられた本イベント。骨髄ドナー登録数は102人で惜しくも目標には届かなかったものの、献血実施人数は471人と目標を大きく超え、これまでのイベント記録を更新しました。
社会課題解決のため、スポーツにできることは。『HEROsパラスポーツパーク@東京雪祭2022』の様子を、参加したアスリートの声と合わせてお届けします。
総勢22名のアスリートが代々木公園イベント広場へ集結!
今回、HEROsはメイン会場の横に『HEROsパラスポーツパーク@東京雪祭2022』を特設会場として設置。22名のHEROsアスリートが、イベントに訪れた一般の方と車いすバスケやボッチャをはじめとしたパラスポーツを体験するとともに、献血、骨髄ドナーへの登録を呼びかけました。
参加したアスリートはこちら。※五十音順
1日目:岩下達郎さん(バスケットボール)、小池美月さん(テニス)、白鳥聖也さん(ボッチャ)、高橋優作(フェンシング)、竹村幸さん(競泳)、泊志穂さん(女子サッカー)、中村美里さん(柔道)、宮地藤雄さん(トレイルランニング)。
2日目:乾純也さん(アイスホッケー)、井上智裕さん(レスリング)、小沢翔平さん(ラグビー)、廣澤沙綾さん(水上スキー)、木村貴大さん(ラグビー)、木村勇大さん(ラグビー)、瀬川真帆さん(フィールドホッケ―)、根木慎志さん(車いすバスケットボール)、樋口政幸さん(パラ陸上)、久光邦明さん(フットサル)、松原梨恵さん(体操)、山田明季さん(フィールドホッケ―)。
両日:木村晴斗さん(パラ・パワーリフティング)、小林輝さん(パラ・パワーリフティング)
今回、体験コーナーが設置された競技は、
・パラ パワーリフティング/ベンチプレス体験
・パラ陸上レーサー/スピードチャレンジ
・ボッチャ/ミニゲーム体験
・車いすバスケットボール/フリースローチャレンジ の4つ。
車いすバスケットのクリニックなどで、参加者にダイバーシティの理解促進とパラスポーツの楽しさを伝えました。
パラスポーツを楽しみながら、いつもと違う視点を手に入れる
まず盛り上がりを見せたのが、ボッチャ体験ブースです。
ボッチャとは、ジャックボールと呼ばれる白いボール(目標球)を投げたあと、それぞれ赤と青の6球を投げ合い、よりジャックボールに近づけたチームが勝利となる競技です。一般の参加者がアスリートチームと対戦したり、親子、友だち同士で対戦するなど、白熱した勝負が繰り広げられていました。
「ルールは簡単だけど戦略性がありとても楽しかったです!パラスポーツの域を超えて、もっと普及してほしいなと感じました。久しぶりに負けず嫌いも発揮し、勝負を楽しめたので良い思い出です! 参加者のなかで一番印象に残っているのは、お母さんと障害を持つお兄ちゃん、健常者の弟くんの家族です。ボッチャなら出来るかもと足を運んでくださいました。ボールを投げるお兄ちゃん、アスリートと遊んでいる弟くん、楽しんでいてよかったと笑っているお母さん。全員が笑顔になれる空間でした。
パラスポーツを通してたくさんの笑顔に触れることができて元気をもらいました。サポートアスリートの皆さんが、参加者の方に目線を合わせ、寄り添うよう声かけをしている姿が素敵で印象的でした」(竹村さん)
またメイン会場では車いすバスケットボールが行われました。
このブースでは、普段あまり乗ることのない車いすに興味を持った多くの方が体験していました。車いすを操縦しながら、下半身が固定された状態でシュート。慣れない体の使い方に苦戦する方も多くいました。
実際に車いすに乗り、フリースローチャレンジへ挑戦した女性は、「車いすには初めて乗りました。シュートを打っても全然ゴールまで届かなかったのですが、アスリートの方にアドバイスいただくと一発で入ったんです。みんなすごく親切で、良い人ばっかりでしたね。楽しかった!」と笑顔を浮かべていました。
「フェンシングの先輩や後輩など、アスリートが社会貢献活動をする姿に惹かれ、HEROs ACADEMIAの2期生として活動しています。先日のボッチャ大会で初めてイベントに参加したのですが、子どもから大人まで一緒になって楽しんでいる姿が素晴らしいなと思い、今回のイベントにも参加することにしました。来場された多くの健常者の方に、パラ競技のことを知ってもらう良いきっかけになるイベントだと思います」(高橋さん)
【髙橋さんが参加されたボッチャ大会のレポートはこちら】
https://sportsmanship-heros.jp/article/221105/
大きな声でチームを盛り上げた岩下さんは、「老若男女たくさんの方に参加していただいて、東京雪祭の『楽しむ』というコンセプトを体現できていると思います。対面のイベントは参加された方の印象に強く残ります。ボールに触る、車いすに乗る、会場の空気を五感で味わっていただけたのではないでしょうか」と語りました。
また、フリースローチャレンジだけでなく、車いすバスケットボールクリニックも開催。アスリートが両手で輪っかをつくった特別ゴールも用意され、会場はたくさんの笑顔にあふれました。
1日目のクリニックを担当した伊吹さんは、「青空のもとバスケットができるのは素晴らしい環境だと思いました。車いすに乗っている人は大変そうというイメージをもっている方もなかにはいらっしゃると思いますが、とにかく体を預けて、風を切る感覚を味わってほしいです。パラスポーツは、人間の可能性を知ることができるもの。全力で楽しむなかで、自分の可能性を発見したり、これまでとは違った視点でものごとを捉えることができるようになると思います。そうやって違いを認めながら、みんなが輝ける社会を築いていきたいですね」と語りました。
その他、ランキングボードが設置されたパラパワーリフティング、パラ陸上レーサー体験ブースでは、多くの参加者が新記録更新を目指して挑戦していました。
アスリート企画 ラグビー教室で子どもたちが空中へ?!
アスリート(Sports Cares)企画では、木村貴大さん、木村勇大さん、小沢さんによるラグビー教室が開催されました。パスや相手をかわすステップ、そして空中でボールをキャッチするラインアウトまで。プロ選手による本格的な指導がなされました。
骨髄バンク啓蒙のため、日頃から試合にオレンジ色のアイテムをつけて出場している木村貴大さん、木村勇大さんにお話を伺いました。
「めちゃくちゃ楽しかったです。すごく幸せな空間で、元気をもらいました。また、献血をされている方にイベントに足を運んだきっかけは何ですか?と質問させていただくと、好きな選手やアーティストが参加しているからという方が多くいました。僕らの活動も、一方的だと上手くいかないと思っています。ファンを巻き込んで、楽しいものから行動するきっかけに繋げていきたいです。そのために、まずは僕らがグラウンドで結果を残して、すごい選手になることが必要だなと思いました。」(木村貴大さん)
「初めてラグビーボールを触る人も多いなか、子どもから大人まですごく楽しそうに参加してくれて良かったです。アスリートが社会貢献するにあたって、何からはじめればいいか分からないケースも多いので、こういう機会があるのはありがたいですね。イベントには引き続き参加したいですし、自分たちでも模索しながら活動したいと思っています。」(木村勇大さん)
「楽しいから始まる社会貢献」を体現した2日間
また、イベントの途中には多くのアスリートが献血ブースへ。受付から血圧測定、問診を経て、約30分ほどで献血車に乗り込みました。
「すごくにぎわっていて驚きました。すごく面白いイベントだと思いますし、献血は参加しやすい社会貢献だなと思いました。パラスポーツも初体験なので楽しみです!」(宮地さん)
フィールドホッケーの瀬川さんは、献血とともに骨髄バンクのドナー登録も。係の方の説明を熱心に聞いていました。
「HEROs ACADEMIAを通じて、アスリートの社会貢献活動を身近に感じるようになったのと、私自身ウィンタースポーツをやっていたこともあり、スノーボードにも興味があったので参加しました。このような場に来るからこそ、自分の知らなかったことも知ることができます。スポーツ選手は狭いコミュニティの中で生きているからこそ、イベントを通じて多くの繋がりが生まれると期待しています」(瀬川さん)
イベントを振り返って、アスリートの皆さんは充実した表情を浮かべながら感想を語ってくださいました。
「夢中になりすぎて、途中からパラスポーツであることを忘れていました(笑)。小さい子からお年寄りまで、みんなで楽しむことが大切なんだと感じました。一般の方とアスリートが身近に接する貴重な機会になって、私自身も嬉しかったです」(中村さん)
「普段HEROs ACADEMIAの講義で学んでいることを実践する機会だと思い参加しました。みんながフラッと立ち寄って、気軽にスポーツに触れることができる環境はあまりないので、こういった機会を増やしていけるように今後も協力していきたいです。スポーツの力を感じたイベントでした」(小池さん)
「たくさんの方が参加してくださってすごく嬉しかったです。車いすバスケでは、いつもと違った目線で景色を見ることができましたし、ボッチャも自然と明るい会話が生まれる良いスポーツだなと感じました。誰でも分け隔てなく体を動かすことができるのがスポーツの楽しさです。パラスポーツを身近に感じることができるイベントでした!」(泊さん)
スポーツを通じてたくさんの笑顔が生まれ、イベントのテーマ「楽しいから始まる社会貢献」を体現した2日間。老若男女、障がいの有無にかかわらずパラスポーツを体験することで、それぞれの違いを認め、身近に感じることができる貴重な時間になりました。社会貢献の輪が広がっていくよう、HEROsはこれからも活動を続けていきます。