12月4日(日)、経済的な貧困や社会格差によるスポーツの機会格差の解消に取組むNPO法人「love.futbol Japan」が、子どもたちと選手のサッカー交流イベント『サッカーしよう!』を開催しました。

HEROsはこの事業を『活動支援制度(資金提供)』によって支援しています。

https://sportsmanship-heros.jp/grant-programs/

『love.futbol Japan』とは…?

『love.futbol Japan』とは、社会的な問題でサッカーがしたくてもできない子どもたちのために、コミュニティ型のサッカー・スポーツグラウンドづくりを通じた機会格差の解消、グラウンドを拠点にした教育、ジェンダー、治安等の地域課題解決に取り組むNGO『love.fútbol』の日本支部。『love.fútbol』は、2006年にアメリカで設立され、現在は日本のほか、ブラジル、メキシコにも支部を展開しています。

今回のイベントは「子どもサッカー応援事業」の一環として開催されました。経済的な貧困や社会格差によってサッカーを続けることが困難な子どもたちに対し、奨学金給付や用具の寄付による機会の提供、社会との繋がりをつくるプロサッカー選手とのオンライン相談を実施。また2022年5月には、居場所づくりとして子どもたちが誰でも自由に使うことができる遊び場を神奈川県に創設しました。

しかし、コロナ禍では子どもたちと選手が対面するイベントが実施できず…。そんな中、ついにリアルイベントの開催が決定!これまでオンライン交流に参加した子どもたちを対象に、選手たちと対面で交流します。選手と子どもたちで交わした「いつか一緒にボールを蹴ろう!」という約束が、ついに実現しました。

当日は、日本各地から約25名の子どもたちと、12名のプロサッカー選手が参加しました。 

<参加選手>  ※五十音順

・新井直人選手(アルビレックス新潟)

・家⻑昭博 選手(川崎フロンターレ)

・尾田緩奈 選手(アニージャ湘南)

・小林悠 選手(川崎フロンターレ)

・齋藤学選手(水原三星ブルーウイングス/韓国)

・下澤悠太選手(テゲバジャーロ宮崎)

・田邉草⺠ 選手(アビスパ福岡)

・富樫敬真 選手(サガン鳥栖)

・朴一圭  選手(サガン鳥栖)

・茂木力也 選手(大宮アルディージャ)

・森谷賢太郎 選手(サガン鳥栖)

・吉見夏稀 選手(KSPO/韓国)

ついに憧れの選手と対面!

ついに憧れの選手と対面するときがやってきました。緊張した面持ちでグラウンドにやってきた子どもたちが選手とグータッチ。

まずは、参加者と選手をそれぞれ代表して子ども(中1)と森谷賢太郎選手があいさつをします。

子ども「今日はこのような機会を用意してくださり、ありがとうございます。少し緊張していますが、思い切り楽しみたいと思います。よろしくお願いします」

森谷選手「みんなに3つの約束があります。緊張しているかもしれないけど遠慮しないこと、どんなことでもいいのでチャレンジすること、サッカーを楽しむこと。今日はよろしくお願いします!」

積極的に子どもたちとコミュニケーションを取る森谷選手

その後は、会場にいる全員で円陣を組み、「ずっとこの日を待っていました!」というlove.futbol Japan代表の加藤遼也さんの掛け声からイベントが始まります。

待望のイベント開催に喜びの表情を浮かべた加藤さん

ストレッチやボール回しなど、アイスブレイクを複数グループに分かれて実施。最初は緊張していた子どもたちの表情も、体を動かすにつれて笑顔になっていきます。一方の選手たちも、ミニゲームでは「ナイスパス!」や「ナイスキーパー!」、「次!次!」など、子どもたちに対する前向きな声を掛けている姿が印象的でした。

イベントへの参加が初めてで不安もあったという家長昭博選手も、子どもたちと触れ合うなかでエネルギーをもらったようです。

「元チームメイトの森谷に活動を教えてもらったのがきっかけで、僕にも何かできればと思い参加しました。

みんなと交流するのには不安もありましたが、楽しむことができました。子どもたちも楽しんでくれましたし、もっとサッカーをみんなができる環境をつくっていきたいとあらためて思いました。今までオンラインで繋がっていましたが、顔と顔を合わせてやる活動を増やしていきたいです。

サッカーはコミュニケーションを取るきっかけになりますし、僕らも影響力があるので、世の中の問題を知ってもらうきっかけになると思います。子どもたちの夢が叶ったり、将来子どもたちが大人になったときにこのような活動をしてくれるかもしれません。アスリートが活動することには、そういった価値があると思います」。

イベントに向けて不安もあったという家長選手ですが、楽しそうに子どもたちと触れ合っていました

プロサッカー選手の凄さを体感する企画も。子どもたち対GK朴一圭選手のシュート対決では、見本を務めた齋藤学選手が強烈なシュートを披露し、会場から驚きの声があがります。「Kリーグスタイル!」と自身がプレーするリーグの名前を挙げ、笑いを誘っていました。対決本番では、子どもたちのシュートを朴選手がすべてストップし、プロの力を見せつけました。

強烈なシュートを披露し会場を盛り上げた齋藤選手

朴選手は、サッカーができなくなるかもしれなかった自身の過去の経験と照らし合わせながらイベントに参加していたようです。

「あらためてサッカーは素晴らしいスポーツだなと感じました。子どもたちも楽しんでいましたけど、参加していた僕たちも楽しかったですし、力をもらいました。

実際に参加して、これだけサッカーができない子どもたちがいるんだと知りました。自分も大学時代、プロを目指していたなかでチームが見つからなくて、サッカーができないかもしれない状況を経験しています。子どもたちと理由は異なりますが、サッカーができなくなるという境遇に関しては同じ気持ちを味わったことがあるので、一人でもそういう子どもたちが減っていけばいいなと思っています。

サッカー選手として知名度を生かすことで、この活動が広まって、サッカーができる環境が整っていくと思います。それは活動に参加する大きな意義だと思いますし、子どもたちもサッカー選手をより近くに感じてくれるはずです。世の中に広げていくために、これからも協力していきたいです」。

GKを務めた男の子に朴選手がアドバイス

4チームに分かれコート全面を使った試合形式を実施したところで、あっという間に2時間が過ぎ、イベントは終了。「楽しかった人?」という加藤さんの呼びかけには、子どもたち全員が手を挙げました。選手たちからも「また一緒にサッカーをしましょう!」と、次回の開催を待ち望む声があがりました。

参加した子どもたちの声「また一緒にプレーしたい」

イベント終了後、参加した子どもたちに感想を聞きました。

「オンライン上では、小林悠選手と交流がありました。楽しみにしていたので、実際に会って一緒にサッカーができて楽しかったです。プロ選手は思ったよりシュートの威力が強くて、すごかったです。積極的にドリブルができるように頑張りました」(小学6年生/埼玉)

「選手と交流できて楽しかったです。パスやシュートの精度がすごかったです。また選手たちと一緒にプレーできるように頑張りたいです」(中学3年生/大阪)

また彼の保護者の方は、「全員でこんなイベントができるとは2年前は想像していなかったので、円陣を組んだときには涙がこぼれました。普段見ることのできない姿が見れて、今回の交流を機に成長してくれたらいいなと思います。今日は大阪から二人でドキドキしながら来たのですが、いつもは遠く離れていても(実際に会ったら)一丸になれるんだという絆も感じました。選手たちに感謝しています」と語りました。

そして最初にあいさつをした子ども(中学1年生)は、「本気のシュートを止められたり、ディフェンスでも足を出してこなくて抜けなかったりしたので、もっと上手くなりたいと思いました。今日の経験を生かして、部活の大会で1位になれるように頑張りたいです」と話してくれました。一緒に参加した弟(小学2年生)も、「楽しかったです。緊張はもうしていません。大人になってもサッカーを続けたい」と充実した表情を浮かべていました。

子どもたちはイベント終了後も、写真撮影などを通じて選手と交流していました。

オンラインでも積極的に子どもたちと交流していた小林選手は、念願の対面に喜びも大きかったようです。

「僕も家庭環境が子どもたちと似ていたので、少しでも力になりたいと思いました。オンライン上でしか話したことのなかった子どもたちとサッカーができて本当にうれしかったです。性格とかはある程度わかっていましたが、実際に会わないと分からないこともあって、もっと仲良くなれましたし、彼らのことをもっと応援したくなりました。

僕が小さいときも、サッカー選手はキラキラした存在だったことを覚えています。実際に触れ合うことで、サッカー選手になりたいという気持ちがより強くなると思います。サッカー選手の力を合わせて活動の輪を広げて、もっと大きいイベントにできればなと思います」。

参加した子どもたちと似た境遇で幼少期を過ごした小林選手

約2年の時を経て実現した子どもたちとサッカー選手の貴重な交流。2時間と短い時間でしたが、そこには間違いなく笑顔にあふれた幸せな空間が広がっていました。このイベントをきっかけに、子どもたちは大きく成長したに違いありません。選手から受け取ったメッセージを胸に、どんな環境に置かれてもあきらめることなく、夢に向かって突き進んでいくことでしょう。

今回参加した子どもたちのように、スポーツをしたくてもできない子どもたちは世の中に多くいます。そんな現状を変えるために必要なのは、一人でも多くの人の協力し環境を変えていくことです。HEROsはこれからもスポーツ、アスリートの力を発信し、社会問題解決への一歩を後押ししていきます。

□2023年 「子どもサッカー新学期応援事業」 及び「アオアシ奨励金」 開始

love.fútbol Japan代表 加藤遼也氏よりコメント

「今年も子どもたちが心からサッカーを楽しめるよう活動に取組みます。 私たちは今もこの先も、子どもたちが夢を持てる社会を望みます。夢を持つことができるのは、それが許される環境にある人だけではなく、自分の言葉を受け止め、理解しようとしてくれる大勢の人たちの存在があってこそ、子どもたちは夢を語ることができます。 ひとりでも多くの子どもを支えていけるよう、情報発信とご支援に力を貸していただけると幸いです。 スポーツが好きなみなさんの力は、子どもたちを支える大きな輪に繋がります。」

◎詳細はこちら https://www.lovefutbol-japan.org/posts/40509326