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ボクシングWBAミドル級王者で、ロンドンオリンピック金メダリストの村田諒太選手(HEROsアンバサダー)が9月19日、
千葉県八街市の八街少年院を訪問。世界王者になるまでの挫折経験などを交えながら、院生たちの再チャレンジを鼓舞した。
少年院とは、犯罪行為をした少年を収容するための施設で、現在、約2千人の子どもたちが少年院で矯正教育を受けている。
少年院では通常1年間で退院となるが、再び非行に走る子どもたちが多いのが現実だ。
「少年院の子どもたちの再犯を防ぐため、アスリートの力を貸してもらいたい。」という法務省矯正局からの相談に村田諒太選手が答える形ではじまった。
アスリートがスポーツから得た努力や、スポーツマンシップなどを伝えることで、非行を繰り返さない強い気持ちを持たせることを目的としている。
チャンピオンベルトを肩にかけた村田選手が登場すると八街少年院生60名から驚きの歓声が上がった。
事前にアスリートが来ることは伝えられていたが、まさか現役のボクシング世界王者が訪れるとは。院生たちの目が一気に輝いた。
講演では、村田選手自身が、中学性時代荒れていて、悪さをしていた頃の話からはじまり、暴れるぐらいなら、とボクシングをはじめたきっかけからスタートした。高校のデビュー戦は敗北してしまいボクシング部を2度も逃げ出した。「かっこ悪くてやめたかった。でもそれで自分の弱さと向き合えた。我慢してボクシングを続けていたらその後のインターハイで準優勝できた。それが最初の成功体験になり我慢の大切さを学ぶことができた」と敗北の意味や我慢の価値を伝えた。
その後も大学での初戦も負けるなど、大切な試合で挫折を味わってきた。「僕はエリートじゃない。それでもボクシングをやめなかったことが自分の一番の誇り。」と語りかけた。
プロ転向後は順調にランキングを上げた行ったが、多くの期待を背負って望んだ最初の世界戦では判定負けしたが、リ・マッチに勝って世界チャンピオンとなったこと、
’18年10月にも敗戦でベルトを失ったが、今年同じ相手とのリ・マッチに勝って再びチャンピオンに返り咲いた経験から「ボクシングは負けてもリ・マッチに勝てばひっくり返せる。人生は続いていくから、自分次第でいくらでもリ・マッチはできる。人生のリ・マッチに勝ってほしい」と強調した。
講演の後は、院生代表に村田選手がミット打ちを指導。「ボクシングのキツさも味わって欲しい」と笑いながら10連打を命じると、会場は拍手と笑い声に包まれ、院生たちにとって夢のような交流が続いた。
質疑応答では、たくさんの手が上がり、個人的な悩みや、卒院後の進路など積極的な質問が殺到し、全ての質問に村田選手が真剣にアドバイスした。
院生代表による感謝の挨拶では、事前に準備していた台本の言葉を途中でやめ、「自分の言葉で村田選手に感謝の言葉を伝えさせてください」という一幕もあった。それほど村田選手の訪問が彼らの心に響いたのだろう。
最後に村田選手は「人生において選択を迫られたとき、みんなには良い選択をして欲しい。そして自分の選択に責任を持って欲しい。」と締めくくった。
八街少年院には、現在約70名の少年たちが在院している。
多くの院生は厳しい家庭環境や生活環境にあり、更生するには強い自律心が必要で、アスリートの経験が彼らのモチベーションを鼓舞できると考えている。
HEROsでは今後も村田選手を中心にアスリートによる訪問活動を継続していく。
The WBA Middleweight World Champion Ryota Murata visited Yachimata Shonen-in school for juvenile boys
Ryota Murata, the WBA Middleweight title holder, is also a Nippon Foundation HEROs Ambassador. On September 19, Murata visited Yachimata Shonen-in, a juvenile training school, as a part of the “HEROs Rehabilitation Support Project”. This project aims to support the rehabilitation of boys in juvenile training schools using the power of sports.
Speaking frankly to around 60 boys, Murata recalled his own experiences when he was about the same age as they are. He told them how he tried to run away from boxing twice during high school, and about the defeat in his debut and final matches in both high school and university, as well as the defeat at his first world title challenge. At the same time, he explained that he was able to become a world champion, because he never quit boxing. He encouraged the boys by passionately telling them how important it was not to simply give up when they lost but to take on the challenge of never quitting.
To overcome defeat and to achieve victory, he told them that they must face their own weaknesses. “Although it is difficult to face your own weaknesses, you will be able to correct the course of your life by doing so.”.
Murata experienced losing the WBA world championship belt once but regained it in the rematch. “In boxing,” he explained, “it is possible to have a rematch, but a boxer’s career is not very long. On the other hand, life goes on, and we can have as many rematches as we choose to have.”. “Even if you lose at first, you can win in the rematch. To do that, you need perseverance, but I would like to see you experience that success.”.
During the question and answer session, many boys actively sought advice about their own personal concerns or questioned Murata about his own goals, and in return, Murata gave precise, earnest answers. In the sports interaction session, four boys had the opportunity to work the mitts with him.
We hope the boys will follow the road to rehabilitation through the power of sports and athletes. The Nippon Foundation will continue this project with HEROs Ambassadors and winner of the HEROs AWARD.