「指導者は自分が経験した指導をそのまま受け継いでおり、アップデートできていない」。怒声が飛び交い、肉体を酷使させる練習……。このままでは子供たちに自ら考える力や行動する力は身につかない――日本の少年野球の環境に危機感を抱いた筒香嘉智は2023年、故郷・和歌山県橋本市に私財を投じて総合スポーツ施設「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」を建設。ここを本拠地とする少年野球チーム「和歌山橋本Atta Boys」を結成した。
　本年は古巣横浜Denaベイスターズに５年ぶりに復帰。26年ぶりの日本一に貢献した。現役真っ只中のトッププレイヤーにもかかわらず、日本のスポーツ文化の問題点を解消すべく、自ら動き出したその企画力と実行力を審査委員会は高く評価する。
「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」のメイン球場には〝メジャーリーグ仕様〟の天然芝が張られている。「肉体的な負担が少ない芝の上で、失敗を恐れず、思いっきり野球にチャレンジしてほしい」。この球場を出発点として、筒香のもう一つの挑戦は続いていく。