2021 AWARD WINNER
寺田明日香ASUKA TERADA
A-START



審査員コメント

松田 裕雄
YASUO MATSUDA
寺田氏の取組には、大きく2つの意義がありました。一つは、競技力の高低に関わらず広く若い世代に対し、非日常の環境(本来であれば選抜等トップレベルでないとなかなかない体験)を提供することで、彼らが改めて自己と向き合う機会を創出し、その成長に寄与したことです。もう一つは、アスリートにとっての「キャリア」に対する捉え方や視点を変え、誰しもが行動を起こし、カタチにできることを証明したことです。
特に後者について、本取組は、「キャリア」とは自らに外在するものではなく、内在するものであって、それは自己と向き合うことで誰もがカタチにできるものであることを証明していました。本取組は寺田氏の3つのキャリアの融合であり、これまでご自身が絶えず自分と向き合う日々を過ごしてきたことが伺えるものでもありました。その3つとは、「過去のキャリア(job;資格・学歴・職歴等これまで経験したこと)」、「現在のキャリア(career;専門性・ネットワーク等今持っている能力・人脈)」、「未来のキャリア(life;生き甲斐・哲学等これから創造するもの)」です。特に寺田氏の「過去のキャリア」のひとつ、競技種目(環境)を変えることで自らが大きく成長できたという成功体験は、まさに今回学生たちが環境を変えることで多くの気づきと成果を獲得するという契機にも大きく作用したといえます。
今回の取組は、3つのキャリアは常に身近にあり、いつでも世のため人のため、自分のために出力できるものであることを「スポーツを通じて」証明し、HEROsの趣旨・理念を先導する価値ある取組でした。
プロジェクト名
A-START
取り組む社会課題
・コロナ禍での学生アスリートの練習環境の悪化やモチベーションの低下 ・主体的で自立した人材の育成
ビジョン
目標/ミッション
・学生アスリートに対して、自分で考えて目標を成し遂げることの重要性を伝えること 。多くの刺激を与えることにより、競技に対するモチベーションを高めてもらうこと。
事業内容
A-STARTでは、学生アスリートを対象に、トレーニング/食事/睡眠について学ぶオンラインプログラムと合宿形式で寺田氏本人と練習、生活する機会を提供している。
2020年は新型コロナウイルスの影響により世界中が未曽有の危機に直面する中で、多くのアスリートも同様に練習や大会の中止など様々な制限を受けた。寺田氏もまた東京五輪を目指す中で困難な状況にいた一人であったが、彼女にとって何より気がかりとなったのが次世代を担う学生アスリートの存在である。この状況が長く続いてしまうと競技に対するモチベーションが下がり、自分の目標を見失ってしまうのではないかと危機感を感じていた。
そこで、寺田氏はどんな苦しい時でも自分で考え、答えを導き出せる力を持ってほしいという想いを伝えるためにこの活動を開始。
結果として、合宿に参加した多くの学生アスリートから自己ベストを更新したという報告を受け、また練習環境にあまり恵まれない学生アスリートからも自らコーチを探して練習環境を工夫していることや、栄養士に連絡して相談に乗ってもらっている報告を受けており、学生たちが自分で考えて行動を起こせるようになっていることも実感している。さらに、寺田氏自身もキャンプ後に、自身の日本記録を2度更新するという偉業を成し遂げており、関わる全ての人が活動による良い影響を受けている。
活動開始時期
2020年~
WEBサイト
#2021 HEROs AWARD受賞
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