HEROs Sportsmanship for the future

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2020/04/10

子どもが大人を信じ、子どもらしくいられる社会を。 DV家庭の子どもたちをスポーツメンタリングで守る。

深刻化するDV問題

日本におけるDV問題を皆さんはどの程度ご存知だろうか。2019年度のDV相談件数は、5年前と比較し倍近く増えている。既婚女性の3人に1人がDV被害の経験者であり、若年層では女性2人に1人、男性3人に1人が経験しているというデータもある。この状況から、想像以上にDV問題は身近なものになってきていると言えるのではないだろうか。

DV家庭の子どもたちは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥る可能性が高く、別居を余儀なくされるタイミングで不登校になる子も少なくない。また、母親が子どもに依存するケースが多く、子どもらしく甘えたりおねだりしたりということができない。このような状況から、彼らは周囲の大人に思ったことや感じたことを素直に伝えることができない環境にいる。

スポーツの力でDV家庭の子どもたちを守る

プログラムに参加する大学生メンターと子どものスポーツ活動の様子

(一社)Sport For Smileは日本初のスポーツを活用した社会貢献を推進するプラットフォームとして、2014年よりDV家庭の子どもたちを守るスポーツメンタリングプログラムを実施している。このプログラムは、子どもたちが大学生メンターであるお兄さんやお姉さんと半年間一緒にスポーツ活動をすることで、信頼関係を構築し子どもたちの成長を見守ることを目的としている。DV家庭の子どもたちは、友だちなど誰かと一緒に何かに取り組むという経験が少ない場合が多い。そのため、プログラムを通して、参加者全員で一緒にスポーツをし、子どもたちはチームワークやリーダーシップを学ぶこともできる。

スポーツメンタリングプログラムでは、子どもたちに思ったことや感じたことを言葉や態度に示して大丈夫という環境づくりに重きを置き、子どもたちが子どもらしくいられるようにしている。このプログラムを通して子どもたちは「たくさん笑い、輝く笑顔とともに成長している」と(一社)Sport For Smile代表理事の梶川三枝さんは話した。

HEROs AWARD 2019を受賞

井上康生さんからトロフィーを受け取る梶川三枝さん

(一社)Sport For Smileが取り組むスポーツメンタリングプログラムは、日本で初めてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱える子どもたちを対象とした事業である。DV問題の社会的認識は広がっている反面、個人の問題と認識されがちであることに対して、大学生ボランティアなど多くの人を巻き込み、スポーツの力で問題解決に繋げる仕組みがユニークである点が評価され、HEROs AWARD 2019を受賞した。それまで誰にも頼らず1人で抱え込んでいたDV被害者である母親が、このプログラムを通して「人に頼っても良い」という考え方に変わり、被害者自身の心の変化において成果があった点も評価された。

HEROs AWARD 2019受賞について梶川さんは、「一生スポーツに辿り着けないかもしれない子どもたちにこそ、スポーツを楽しむ機会を提供したいと思い活動を始めました。受賞を機に、より多くの子どもたちに手を差し伸べていけるよう、アスリートの皆様にも協力をいただきながら、活動に邁進していきます」と活動の拡大への意欲を語った。

HEROs AWARD式典当日、副賞エスカーダの衣装を身にまとった梶川三枝さん