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2020/03/24

五輪スイマーから国連職員へ 井本直歩子

教育を通して平和構築のために活動してる井本直歩子さん。彼女の原動力とは。

■井本直歩子さんが活動を始めたきっかけ
五輪スイマーから国連職員へ転身した井本直歩子さん。貧困や紛争など国際的な問題に関心を持つようになったきっかけは、14歳から23歳まで出場した国際大会での出会いだった。
同じ舞台に立つ紛争国の選手たちはボロボロの水着でゴーグルすら持っていない。世界中で同じようにスポーツをしている選手が全く同じスタートラインに立っていない。そんな状況を目の当たりにして、いかに自分は恵まれた環境でトレーニングができているかに気づかされた。
選手としてのキャリアを終えたら、貧困や紛争に苦しむ人々のための国際支援に携わりたいと決意したという。

バルセロナ五輪出場の様子
バルセロナ五輪出場の様子

■ユニセフ職員になるまで
競泳選手としてオリンピックを目指す傍ら、慶應義塾大学、米国サザンメソジスト大学で国際関係や国際貢献について学んだ。現役引退後、マンチェスター大学大学院で紛争・平和構築の修士号を取得し、2003年より国際協力機構(JICA)のインターンとしてガーナでの支援に従事。04年からシエラレオネ、05年からルワンダで紛争からの復興支援に携わった。2007年より現在勤務する国連児童基金(ユニセフ)の一員として「教育を通した平和構築」のため、内戦下のスリランカ、大地震後のハイチ、大型台風で被害のあったフィリピン、紛争地のマリの支援を経て、現在のギリシャでの支援活動に至っている。

マリでの支援活動の様子
マリでの支援活動の様子

■ギリシャでの教育支援活動
ギリシャでは、34カ国から7万人を超える難民を受け入れており、近年シリアにおける内戦の影響により難民・移民の数が増加している。その一方で、受け入れが困難となり子どもや家族に対し適切なサービスが行われていないのが現状だ。
井本さんはユニセフによる支援団体であるELIX(ギリシャを中心にボランティア活動プログラムを実施するNGO)とともに、彼らに対しギリシャで生活するうえで必要な英語、ギリシャ語の教育、学校に通えない子どもたちや授業についていけない子どもたちへの教育プログラム、さらにはギリシャでの暮らし方やギリシャ人の特性といったライフスキル習得のための支援を行っている。

エレオナス難民キャンプでの教育支援の様子
エレオナス難民キャンプでの教育支援の様子

■アスリートの新しい生き方
これまでの国際機関における地道な活動が評価され、スポーツやアスリートの力を活用した社会貢献活動を表彰するHEROs AWARDを受賞した。特に評価された点は、五輪スイマーから国連職員に転身したプロセスであった。海外遠征の際、多くのアスリートが自身のパフォーマンスに集中している中、様々な文化に触れることができる国際大会の場で、井本さんは周囲に目をやりその違和感に気づいた。競技を通して、水泳というフィールドから国際協力というフィールドに飛び込み行動に繋がっている点が、セカンドキャリアも含め、アスリートの新しい生き方を示している。

HEROs AWARDでの受賞を受け、井本さんは「私や他の受賞者の方の活動にインスパイアされた人がいるかも知れない。これをきっかけに、国際問題について、より多くの人に知ってもらえるきっかけが生まれるかも知れない。他人のために何かやりたいと思う人が増えるかも知れない。そういう人がいたら、もし私に何か提案できることがあれば、出していきたい。」と語った。

HEROs AWARD 2020受賞の様子
HEROs AWARD 2020受賞の様子

■井本直歩子(いもと なおこ)/国連児童基金(ユニセフ)教育専門官
2001年総合政策学部卒業。3歳で水泳を始め、小学校6年生のときに50m自由形で日本学童記録を塗り替える。1990年、最年少の代表選手として北京アジア大会に出場し、50m自由形で銅メダル獲得。1996年、アトランタオリンピックで4×200mリレー4位入賞。その後、米国サザンメソジスト大学への留学、英国マンチェスター大学大学院でも学び、国際支援の道へ。2003年、国際協力機構(JICA)のインターンとしてアフリカ諸国の参加型開発プロジェクトに参画。2007年より、国連児童基金(ユニセフ)職員として世界各国での教育支援プロジェクトに関わっている。

ユニセフ大使 長谷部誠さんも訪れたエレオナス難民キャンプにあるサッカーグラウンドでの集合写真
ユニセフ大使 長谷部誠さんも訪れたエレオナス難民キャンプにあるサッカーグラウンドでの集合写真